健康志向の高まりや病症の上での確認事項を気にする人の増加、さらに情報開示の世情を受け、そして表示を義務付ける法令の整備などに合わせ、食品に含まれている栄養成分を気にする人が増えている。パッケージ詰め食品にカロリーや塩分相当量をはじめとした各種栄養成分が表記されるのは当たり前となり、中にはスマートフォン向けのページを別途用意し、描かれているバーコードを読み取ることで容易に詳細値を参照できる仕組みを提供するものも登場している。今回は厚生労働省が2016年11月14日に発表した「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」の結果から、食品購入時にどれほどの人が栄養成分の表示を気にしているのか、具体的にどの成分が気になるのかを見ていくことにする(【国民健康・栄養調査:調査一覧ページ】)。



男性は1/4、女性は過半数が「時々以上」で栄養成分を確認


今調査の調査要件は先行記事【一日の平均歩数は男性7200歩・女性6200歩(2016年)(最新)】を参照のこと。

次に示すのは成人男女に対し、食品を購入するときに栄養成分の表示をどれほどの頻度で参考にしているかについて答えてもらったもの。元々男女間で食品調達の頻度に違いがあるとはいえ、大きな差異が出ている。

↑ 普段食品購入時に栄養成分の表示を参考にしているか(2015年)
↑ 普段食品購入時に栄養成分の表示を参考にしているか(2015年)

男性は全体では1/4が「いつも」「時々」とそれなり以上に参考にしていると回答しているが、4割近くは「いつもしていない」。他方女性では5割強がそれなり以上に参考にしているとし、していない人は2割にも届かない。食品購入頻度の違いや、誰のために食品を買うのかの立場上の違い(男性は婚姻状態を問わず、多分に自分自身のためだが、女性は結婚している場合、自分のためだけでなく家族向けの食材の調達をすることになる)が反映された結果となっている。また、体重をはじめとした健康管理の上で、食品の栄養成分を気にするか否かの点でも、女性は男性と比べて厳しい目を持っているのだろう。

年齢階層別では男女を問わず20代と70代以上で「いつもしていない」が大きめに出る傾向がある。他方男性では「いつも」「時々」の値が年齢で違いを見せない一方、女性は「いつも」「時々」の減少も20代と70代以上で生じているのが興味深い。

どの栄養成分を気にしているのか


それでは具体的にどの栄養成分を気にして、参考にしているのだろうか。食品購入時に情報として必要だと思うものを複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。元々参考にしていない人も回答しているので、当然「特にない」との回答もそれなりに出ている。

↑ 食品購入時の参考として、必要だと思う栄養成分表示(2015年、複数回答)
↑ 食品購入時の参考として、必要だと思う栄養成分表示(2015年、複数回答)

男性よりも女性の方が、食品購入時に栄養成分を気にする傾向が強いのは1枚目のグラフからも明らかだが、今項目でも多様な成分に関して、女性が男性以上に気にかけている実情が分かる。男女ともにエネルギー(熱量、カロリー)をもっとも気にするのには変わりが無いが、男性がビタミン・ミネラル類、糖類、食物繊維の順で気にしているのに対し、女性は食物繊維、ビタミン・ミネラル類、脂質の順となり、男女で気にする成分の序列に差が生じているのは注目に値する。

他方、昨今良く見聞きする糖質は質問項目に無いため(糖類とは別物)その実情は分からないが、情報取得の際には代替できる炭水化物の値が男女とも少なめに留まっているのは意外なところ(炭水化物=糖質+食物繊維)。

今件値は普段成分を参考にしていない人も合わせた値。女性の5割はエネルギーを、3割以上はビタミン・ミネラル類、糖類、食物繊維、脂質、コレステロール、ナトリウムが表示に必要だと感じている。食品を購入する機会は男性よりも女性が多いことを合わせ考えれば、食品の種類特性にも寄るものの、最低でもこれらの値の計上は欠かせまい。


■関連記事:
【敷島製パン、「超熟食パン」の成分表記を分かりやすいものに変更】
【「ピザ4切れ880キロカロリーです」イギリスで外食産業がカロリー明記を開始】
【消費者庁、トランス脂肪酸の食品含有量表示に関するガイドライン策定】



スポンサードリンク