2017-1205厚生労働省は2017年11月28日、中高年者の生活に関する継続調査の第12回目にあたる調査結果を発表した。それによると61-70歳の高齢者において有職者は男性で64.6%、女性で43.0%であることが分かった。男性は自営業主・家族従業者が、女性はパート・アルバイトがもっとも多い比率を示している(【第12回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況】)。



今調査は団塊の世代を含む全国の中高年者世代の男女に対する追跡調査で、2005年以降毎年1回、同一人物を対象に各種質問が行われている。今回対象となる第12回目は2016年11月2日に郵送調査票の送付と郵送返送方式で実施されたもので、対象者のうち回収数は2万1916人。対象者年齢は61-70歳。

次に示すのは回答時点での就業実情。男性は64.6%が、女性は43.0%が何らかの職に就いている。

↑ 61-70歳の就業実情(2016年11月時点)
↑ 61-70歳の就業実情(2016年11月時点)

有職者の仕事形態の中身だが、男性は自営業主・家族従業者がもっとも多く、次いで派遣社員・契約社員・嘱託、パート・アルバイトが続く。正規職員・従業員は1割足らずでしか無く、会社などの役員が6%近く。他方女性はパート・アルバイトがもっとも多く2割強、次いで自営業主・家族従業者。正規職員・従業員と派遣社員・契約社員・嘱託の割合はほぼ同じで3%強。

男性は35.3%、女性は56.8%が回答時点で無職となっているが、なぜ仕事をしていないのか、その理由を尋ねたところ、現在仕事を探している、あるいは開業の準備中をしている人が1割足らずの結果となった。大多数は仕事をしたくないから無職の状態にあるとのこと。

↑ 仕事の希望・求職活動の有無・仕事をしていない理由(仕事をしていない人限定、択一、2016年11月時点)
↑ 仕事の希望・求職活動の有無・仕事をしていない理由(仕事をしていない人限定、択一、2016年11月時点)

仕事をしたいが何もしていない人の理由別では、病気やけが、希望する仕事がありそうにないなどが大きめの値を示しているが、それも数%程度。また、仕事を探していたり開業する人、仕事をしたいが具体的には何もしていない人のその理由別それぞれにおいても、年が上になるに連れて大よそ値が減り、仕事をしたくない人の割合が増えていく。仕事をしたいが高齢のために具体的には何もしていない人も併せ、年を重ねるに連れて仕事への意欲が減っていく実情が確認できる。

人手不足への解消法の手立てとして高齢者の再雇用にスポットライトが当てられているが、元々老化に伴い(個人差は有れど)各種能力が減退しているのが人の常。その減退した能力に見合った仕事で無ければ、たとえ無理に就業しても自分自身にも周囲にもトラブルの元となる。

しかも多くは仕事をすること自体を望んでいない。仕事をしたいが何もしていない人の理由の中にも、仕事をしたい気持ちは分かるが無理に働いてもよいことは無いのではないかとの感想を抱くものが見受けられる。しかも先々のことを考えれば、長期間の就業は到底望めない。

就業を後押しする公的リソースの分配に関しては、むしろ若年層にこそ重点配置をすべきでは無いだろうか、そう考えさせられる結果には違いない。


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