2018-1003厚生労働省が2018年9月11日に発表した「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」では、特別調査項目として高齢者(65歳以上)の実情を多方面から調査している。今回はその調査結果から、高齢者における日常生活の実情を推し量れるデータをいくつか確認していくことにする(【国民健康・栄養調査:調査一覧ページ】)。



外出、買い物、食事の準備…日々の行動様式


今調査の調査要件は先行記事【一日の平均歩数は男性6846歩・女性5867歩(最新)】を参照のこと。

まずはじめに示すのは、普段の行動様式を答えてもらったもの。設問の内容に自分が当てはまる人の割合が示されている。なお今調査では「在宅患者で疾病などの理由により、流動状の食品や薬剤のみを摂取しているまたは投与されている場合など通常の食事をしない者」「単身赴任者、出稼ぎ者、長期出張者(おおむね3か月以上)、遊学中の者、社会福祉施設(介護保険施設含む)の入所者、長期入院者、預けた里子、収監中の者、その他別居中の者」は調査対象には当たらないため、老人ホームや病院などにいる人は該当しない。

↑ 生活の様子(65歳以上、男性、年齢階層別)(2017年)
↑ 生活の様子(65歳以上、男性、年齢階層別)(2017年)

まず男性。週一以上で外出する人は9割以上。しかし椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がれる人は65-74歳では91.3%だが、75歳以上では81.3%にまで減ってしまう。立ち上がれないわけでは無いが、難儀している人が2割近くいることがうかがえる。

さらに日用品の買い物をしている人は65-74歳で84.8%、75歳以上では72.4%。行動範囲内に買い物ができる店が無いのか、それとも身体能力の衰えで近場の店にも足を運べなくなっているのかまでは今設問では判断できないが、日用品の調達に苦労しているに違いない。

食事の準備をしている人は4割強。ただしこれは後述する女性の値と比較すると、元々同居している配偶者に作ってもらう人が多く、自炊をしている人は多くない状態だったのが、高齢者となっても継続していることが推測できる。

続いて女性。

↑ 生活の様子(65歳以上、女性、年齢階層別)(2017年)
↑ 生活の様子(65歳以上、女性、年齢階層別)(2017年)

男性と比べると75歳以上の属性で、身体方面の値が低めに出ている。これは75歳以上の区切りの中で、より高齢の人の割合が、男性より女性の方が多いことによるもの。75歳でも80歳でも90歳でも、すべて75歳以上の区切りに該当するに違いない。

他方、「日用品の買い物をしている」「食事の準備をしている」など家事方面の行動は、男性よりも高い値を示している。高齢に至る以前から従事しており、配偶者と同居しているにしても一人暮らしにしても、それを継続していることが想像できる。

同居者のある無しで大きく変わる生活様式


次に、いくつかの生活様式について、同居者がいるか否かで区分した結果。この同居者に関しては特に指定は無い。配偶者の可能性が一番高いが、子供などそれ以外の人の可能性もありうる。

まず男性。

↑ 生活の様子(65歳以上、男性、同居者のある無し別)(2017年)
↑ 生活の様子(65歳以上、男性、同居者のある無し別)(2017年)

外出頻度はほとんど同じだが、日用品の買い物では19.2%ポイント、食事の準備では52.4%もの差をつけて、同居者がいない人の方が高い値を示している。同居者がいればその人に任せているからする必要が無いのか、これらの行動を単独で行えないから同居者がいるのか、そこまでは判断がし難いが、高齢の男性は同居人の有無で生活様式が大きく違ってくることに違いはない。本人がこれらの行動を十分に行うことができても、同居者に任せている事例も多々あるのだろう。

続いて女性。

↑ 生活の様子(65歳以上、女性、同居者のある無し別)(2017年)
↑ 生活の様子(65歳以上、女性、同居者のある無し別)(2017年)

一様に同居者無しの方が高めの値だが、大きな違いはない。同居者がいない場合はほぼ必然的に、自分自身のために日用品の買い物や食事の準備をする必要があるが、同居者がいても自分で買い物をしたり食事の準備をしている人がほとんどとなり、同居者に任せている事例は少数となっている。高齢になっても夫婦世帯における家事の分担が、女性に任せきりとなっている実情がうかがいしれる。

今回の調査項目は特別調査項目のため、経年データは無く、次年以降も行われる可能性は低い。とはいえ、高齢者の日常生活の実情を推し量れる調査はあまり多くないのも事実に違いなく、何らかの形で継続を願いたいところではある。


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