
「熱帯夜」とは

熱帯夜をカウントする
それでは実際に、熱帯夜の数を年次ベースで抽出し、その動向から温暖化が進んでいるのかを確認する。観測対象地点は先の真夏日などの記事同様、東京と大阪、そして消防庁の熱中症による公開データではよく救急搬送者数の上位に顔を見せる神戸を対象とする。なお2024年分については9月頭までのデータを反映させている。

↑ 東京・大阪・神戸の熱帯夜の日数(年ベース)
真夏日や猛暑日同様、確実にその数を増やしているのが分かる。一方で真夏日や猛暑日のように、選んだ地域の中では大阪が特に増え方が著しいということはなく、どの地域も似たような増加の仕方をしているように見える。あえていえば東京がやや穏やかな伸び方のように見えるかもしれない。
ちなみに直近となる2024年では、東京で40日、大阪で59日、神戸では62日が熱帯夜の日数となっている(9月頭までの値)。
近似曲線で確認すると
先のグラフを見て「増えていない」と解釈する人はいないと思うが。念のためにということで、元のグラフに線形近似曲線(点線)を引き、熱帯夜の動向を示す折れ線を透過する形にして、線形近似曲線を目立たせる形にしたのが次の図。要は点線部分が横ばいなら、熱帯夜は増えていない、右肩上がりならば増えている、右肩下がりなら減っていることになる。

↑ 東京・大阪・神戸の熱帯夜の日数(線形近似曲線込み)(年ベース)
今回観測対象となった東京・大阪・神戸ではいずれも増加傾向にある。印象通り東京はやや穏やかな伸び方、大阪と神戸はほぼ同じだが、神戸の方が増え方が急なようだ。
もう少し検証対象地域を増やし、さらに人口の増加率と掛け合わせれば、温暖化現象の一因とされるヒートアイランド現象との相関関係性も一層確かなものとなりそうだが、よほどの観測地点でなければ熱帯夜の有意な値は期待できないので、今回は省略する。
ともあれ熱帯夜の観点で見ても、日本の夏は確実に暑くなっている。これは間違いない。
なお気象庁の特設解説ページ【ヒートアイランド現象】によれば、都市部において長期的な気温の上昇傾向がみられ、特に都市化が進んでいる地点ほど気温の上昇率が大きいと言及している。他に、冬日の減少や熱帯夜(最低気温が25度以上の夜)・猛暑日・真夏日の増加、日中最低気温の上昇、乾燥化が進行しているとのこと。また、東京では1950年代後半から1970年頃にかけて、気温が大きく上昇したと説明している。
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