2020-1106国内外を問わずたばこの喫煙率は、特に先進諸国において減少傾向にある。また禁煙の啓蒙活動も盛んに行われている。とはいえ今なお多くの人にとってたばこは重要な嗜好品に違いない。今回は厚生労働省が2020年10月27日に発表した「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」をはじめ、過去の国民健康・栄養調査の結果も合わせ、日本における最新の喫煙率状況を中長期的な流れで把握できるグラフを作成し、喫煙率の状況を確認する(【国民健康・栄養調査】)。


今回発表されたデータは2019年分。その値も含め、さかのぼれる最古の値の1986年以降版、そしてもう一つ、最近の動きがよくわかるように取り扱い範囲を2001年以降に限定した版が次のグラフ。

↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)
↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)

↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)(2001年以降)
↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)(2001年以降)

最新となる2019年分を反映させたが、1年分の追加で全体的な状況が変わることはなく、

・男性は減少傾向。ただし60代以降は減少の動きが緩やか、さらには横ばいに移る気配を見せている。60代ではここ10年ほどの間は事実上横ばい。

・女性は若年層から中年層にわたり、しばらくの間はむしろ増加傾向にあった。2005年前後あたりからようやく減少に転じる形に。一方で60代は2010年ぐらいから増加、70歳以上は横ばいの動きを示している。

などの傾向が見られる。

上記グラフでは分かりにくい部分もあるが、ここ数年に限ると、男女ともに若年層-中年層の喫煙率の減少の気配が見受けられる。他方高齢層は横ばい、一部では増加の気配すらある。今件は喫煙者数ではなく喫煙率であり、高齢層人口の増加との直接的な関連性は無いが、注視すべき動きには違いない。

↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)(直近10年)
↑ 喫煙率(男女別・年齢階層別)(直近10年)

一部の年齢階層で喫煙率の減少に足踏み感、さらに増加の動きが見えるのには大いに留意が必要である。人口比では高齢層の方が多い以上、その層で喫煙率が減少しなければ、今後全体の喫煙率も横ばい、さらには上昇を示す可能性が出てくるからだ。


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