
現在発生源とされているメキシコでは、4月27日の時点では大部分の労働者がいつも通り出勤するよう指示を受けており、自宅待機の命はほとんどなかったという。ただしすでに産業が受けている・受けるであろう経済的損失により、自分たちが解雇されるかもしれないという懸念におびえているとのこと。
一方で一部の投資家は新型インフルエンザの拡散で航空会社や観光ホテル会社が少なからぬ営業上の被害を受け、株価が下落するだろうと予測。しかるべき手を打っていたと伝えている(要はポジションの整理や空売り、ということだろう)。さらに豚の飼料となる大豆やとうもろこしの先物は、彼らの需要が急激に減ることを予測し、過去二か月間の間では最大の下げ幅を記録した。他方、タミフルの製造元であるロシェなどの製薬会社の株価は上昇を続けている。

参考:東京穀物商品取引所のとうもろこしの価格推移

参考:日本でタミフルを販売する中外製薬の株価(過去一週間の推移)
その他経済的な影響について、元記事に記載されている事柄を箇条書きでまとめると次のようになる。
何より人とモノの流れが停滞することで、経済活動がさらに圧迫されてしまう可能性について、元記事では懸念を表明している。状況的にはメキシコやイギリスだけでなく、世界各国で多かれ少なかれ似たような立ち位置なのだろう。
拙訳は以上だが、それでは日本における今回の新型インフルエンザによる経済的な影響は、どの程度のものだろうか。まだ国内で患者・感染・拡散が確認されていないこと、さらにこれまで検証と準備が進められてきた鳥インフルエンザH5N1型の変異体による新型インフルエンザではなく、現時点では豚インフルエンザのH1N1型などの変異体であり、対抗薬がすでに大量に備蓄されていること、適切な処置を施せば致死率はほぼゼロに抑えられることから、これまでの想定はほとんど意味を成さない状態にある。
例えば2008年7月30日に開催された第8回新型インフルエンザ専門家会議で提示された【参考資料(PDF)】では日本だけでGDP比で3.3%-15.7%の経済被害を受けるとあるが、これはあくまでも鳥インフルエンザH5N1型の変異体による新型インフルエンザ(強毒性)が爆発的に広がったことを想定した結果によるもの。計算の際の変数が多すぎて、今回の事例(現時点では弱毒性)には当てはまらない。
インフルエンザウイルスの遺伝子自身は変異しやすいため、現在のありようがそのまま継続したまま、流行そのものが終焉を迎えるという保証はどこにもない。かのスペイン風邪も、当初は弱毒性で、それが途中から変異している。
あらゆる事態に備えて慎重な姿勢を取りつつ、必要以上に身構えることなく正しい情報を収集して身につけ、それを元に冷静沈着な行動を心がけるようにしよう。
一方で一部の投資家は新型インフルエンザの拡散で航空会社や観光ホテル会社が少なからぬ営業上の被害を受け、株価が下落するだろうと予測。しかるべき手を打っていたと伝えている(要はポジションの整理や空売り、ということだろう)。さらに豚の飼料となる大豆やとうもろこしの先物は、彼らの需要が急激に減ることを予測し、過去二か月間の間では最大の下げ幅を記録した。他方、タミフルの製造元であるロシェなどの製薬会社の株価は上昇を続けている。

参考:東京穀物商品取引所のとうもろこしの価格推移

参考:日本でタミフルを販売する中外製薬の株価(過去一週間の推移)
その他経済的な影響について、元記事に記載されている事柄を箇条書きでまとめると次のようになる。
・メキシコではバーやショッピングセンター、映画館、教会ですら「お休み」状態。
・メキシコ市では今後さらに対策を行うべきかについて、経済界重鎮らと市長による会議を計画している。
・ちょうどメキシコは「今年4%ほどの経済の縮小を見込む」とIMFが予想したばかり。ただでさえ経済的困難にある時に新型インフルエンザ騒動が起き、まさに「泣きっ面にハチ」状態。状況次第ではさらに経済悪化の可能性もある。
・メキシコの観光ビジネスは外貨を稼ぐ手段としては三番目に大きなもの。影響は決して小さくない。
・豚肉製品を食べても新型インフルエンザにはかからない。適切な処理(熱処理など)を施せば、豚肉も豚肉製品も安全。しかし風説被害により、すでに大きな被害を受けている。
・(27日時点で)中国、ロシアはメキシコ及び新型インフルエンザが発生したアメリカの各州からの(豚肉の)輸入を禁止した。インドネシアも同様だが、いわく「鳥インフルエンザの際の事例に従ったまで」とコメントしている。同国は鳥インフルエンザでもっとも被害を受けている。
・イギリスではすでに「パンデミックに移行(フェーズ6)」に備えた動きを進めている。リスク管理会社のトップは企業に対し「長期間従業員の休業と、彼らの雇用の維持を準備しておくように」と助言している。
・メキシコ市では今後さらに対策を行うべきかについて、経済界重鎮らと市長による会議を計画している。
・ちょうどメキシコは「今年4%ほどの経済の縮小を見込む」とIMFが予想したばかり。ただでさえ経済的困難にある時に新型インフルエンザ騒動が起き、まさに「泣きっ面にハチ」状態。状況次第ではさらに経済悪化の可能性もある。
・メキシコの観光ビジネスは外貨を稼ぐ手段としては三番目に大きなもの。影響は決して小さくない。
・豚肉製品を食べても新型インフルエンザにはかからない。適切な処理(熱処理など)を施せば、豚肉も豚肉製品も安全。しかし風説被害により、すでに大きな被害を受けている。
・(27日時点で)中国、ロシアはメキシコ及び新型インフルエンザが発生したアメリカの各州からの(豚肉の)輸入を禁止した。インドネシアも同様だが、いわく「鳥インフルエンザの際の事例に従ったまで」とコメントしている。同国は鳥インフルエンザでもっとも被害を受けている。
・イギリスではすでに「パンデミックに移行(フェーズ6)」に備えた動きを進めている。リスク管理会社のトップは企業に対し「長期間従業員の休業と、彼らの雇用の維持を準備しておくように」と助言している。
何より人とモノの流れが停滞することで、経済活動がさらに圧迫されてしまう可能性について、元記事では懸念を表明している。状況的にはメキシコやイギリスだけでなく、世界各国で多かれ少なかれ似たような立ち位置なのだろう。

例えば2008年7月30日に開催された第8回新型インフルエンザ専門家会議で提示された【参考資料(PDF)】では日本だけでGDP比で3.3%-15.7%の経済被害を受けるとあるが、これはあくまでも鳥インフルエンザH5N1型の変異体による新型インフルエンザ(強毒性)が爆発的に広がったことを想定した結果によるもの。計算の際の変数が多すぎて、今回の事例(現時点では弱毒性)には当てはまらない。
インフルエンザウイルスの遺伝子自身は変異しやすいため、現在のありようがそのまま継続したまま、流行そのものが終焉を迎えるという保証はどこにもない。かのスペイン風邪も、当初は弱毒性で、それが途中から変異している。
あらゆる事態に備えて慎重な姿勢を取りつつ、必要以上に身構えることなく正しい情報を収集して身につけ、それを元に冷静沈着な行動を心がけるようにしよう。
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