新型インフルエンザイメージ[読売新聞]が2009年5月3日に伝えるところによれば、厚生労働省は同年5月2日、インフルエンザA(H1N1)のウイルス株がアメリカ疾病対策センター(CDC)から国立感染症研究所に到着し、ワクチンの開発を始めると発表した。5月4日時点でCDC、厚生労働省、【国立感染症研究所】の各公式サイトには今件に関する記述はまだ掲載されていない。なお、ワクチンの供給開始には半年ほどかかる見込みであるとしている。




【新型インフルエンザの警戒レベル、フェーズ5に引き上げ・WHO正式発表】にもあるように、インフルエンザA(H1N1)(豚インフルエンザを起因として発現したと思われる新型インフルエンザ)は現時点で警告レベルはフェーズ5。これは「かなりの数のヒト-ヒト感染があることの証拠がある」を意味している。

国立感染症研究所ではこの「ウイルス株」からワクチン製造用の(ニワトリの卵で増殖しやすい)「種(たね)」をつくり、日本国内のワクチンメーカー・団体に配布して、インフルエンザA(H1N1)用のワクチン製造を開始することになる。ただしこのワクチンを作るには、毎年冬に流行する「季節性インフルエンザ」のワクチン製造ラインを切り替える必要があり、当然ながら切り替えた分だけ「季節性インフルエンザ」が減り、備えがおろそかになる。どれだけ製造するかは新型の毒性を見極めての判断となるという。

確認しておくが、「ワクチン」とは「体内に抗体を作って該当する免疫を取得し、発症しにくくする予防法」であり、特効薬でもなければ治療薬でもない。該当するインフルエンザの感染・拡散率が高く、治療薬もない場合、ワクチンの開発・製造は死活問題となるが、今件においてはインフルエンザA(H1N1)の拡散率はともかく毒性は(現時点では)弱毒性であり、また治療薬もすでに確認されている。少なくとも「未知なる病気が流行して感染したらみんな倒れちゃう」という、SF映画やバイオホラー映画に登場するような設定のウイルス・状況ではない。

現時点では通常のインフルエンザへの対策をしっかりと守りつつ、怪しい症状(感染の可能性)を感じたら、落ち着いて該当部署に連絡を入れる(通常の病院には決して行かないように)。そして、フェーズ6への備えをすることで過不足無い対応となる。「半年もかかるようじゃ、それまで日本は新型インフルエンザに対して無防備なの?」という心配は無用なので、その点はご留意を。




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