新型インフルエンザイメージ直前の記事にもあるように、WHOでは新型インフルエンザ(インフルエンザA(H1N1))の警戒レベルを現行のフェーズ5からフェーズ6、すなわち「パンデミック(世界的大流行)」に引き上げる可能性があることを伝えている。このフェーズ6は新型インフルエンザが2か国・2エリア(大陸)以上で「効率よく持続したヒト-ヒト感染が確立」が確認された時に発動されるもの。いわば国際社会に向けた「最大限の警戒発令」となる。それでは日本においては、どのような対策・施政が実施されるのか。【厚生労働省の事前計画書の該当部分(PDF)】からチェックを入れてみることにする。



フェーズ6A(国内非発生)
日本では「フェーズ6」について、日本国内でもパンデミックが発生したか否かで2つの行動計画を立案している。まずは「まだ」国内では広まっていない状態。これを「フェーズ6A」と呼んでいる。

主な行動は次の通り。一部はフェーズ5の現時点ですでに行われており、基本はフェーズ5の対策の継続・強化となる。

・情報収集強化と逐次情報の開示
・国内パンデミック発生時の準備
・発生地域からの入国者や貨物に対し検疫法に基づく診察、停留、隔離
・必要に応じて国際航空機や旅客船の運航自粛要請
・不要不急の海外旅行の自粛を勧告
・抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量確認、
・ワクチンの生産開始(鳥インフルエンザを元にした強毒性インフルエンザの場合は「季節性インフルエンザワクチンの製造ラインを中止して新型インフルエンザに切り替える」とあるが、今件は弱毒性のため「状況を判断して適時」となっている)。

要は水際作戦の継続と、国内発生に備えた準備、各種情報収集がメインとなる。個人レベルでも同様だ。

フェーズ6B(国内発生)
続いてフェーズ6B。言うまでも無く、日本国内で感染が発生した場合。これは最初の流行、そしてその後の小康状態・第二派をも含んでいる。

・内閣総理大臣による非常事態宣言。「新型インフルエンザ対策本部」のもとで対策強化
・国際機関との全面協力
・感染状況、ワクチンの副作用についてのモニタリング
・不要不急の海外旅行の自粛を勧告
・生活行動の制限。具体的には「大規模施設など不特定多数の集まる活動の自粛勧告」「学校などの臨時休業要請」「公共施設や公共機関に対する協力要請」「症状の認められた従業員の出勤停止・受診勧告」「マスクの着用、うがい・手洗いを勧奨、外出自粛を勧告」「各都道府県は自宅療養者への支援実施」
・医療体制の確立。発症診断された場合48時間以内に対抗薬で治療
・情報収集の強化、国民への注意喚起

個人レベルでは「生活行動の制限」がメインとなる。要は「感染しないように」「感染が広まらないように」極力留意するということ。

「現時点」では日本国内にインフルエンザA(H1N1)が拡散しているという話はなく、WHOの記録でも日本国内において感染者が確認されたとの報告は無い。仮に近日中にフェーズ6に警戒レベルが引き上げられたとしても、各種「公的機関が発表した」情報や地方自治体の指示に従い、冷静沈着に行動するよう心がけるようにしよう。