世界地図イメージ【インフルエンザA(H1N1)の警戒レベル、数日中にフェーズ6への移行可能性】などでもお伝えしているように、現時点では豚インフルエンザを起因として発現したと思われる、ヒト-ヒト感染型の新型インフルエンザ「インフルエンザA(H1N1)」の感染者数はうなぎ上りに増え、WHO(世界保健機構)の警戒レベルも「パンデミック期」を意味する「フェーズ6」宣言が間近な状況にすらある。今のところ毒性は弱毒性であり、既存の医薬品が抑制薬として使用できるため、医療体制が整った環境下ならほとんど死者がでないのが幸いだが、だからと言って油断をして良いわけではない。今回はこのインフルエンザA(H1N1)の確認患者数がどのように増加しているのかを「ビジュアル的に」確認するため、公式の患者数をアニメGIF化してみることにした。



使用したデータはWHOの公式ページ内における、最近では日報レベルで更新している【Situation updates - Influenza A(H1N1)】。このページで公開されている「WHOが正式にインフルエンザA(H1N1)の患者であると認定した人数」を元にアニメGIF化したのが次の図。

WHOが正式にインフルエンザA(H1N1)の患者であると認定した人数推移
WHOが正式にインフルエンザA(H1N1)の患者であると認定した人数推移

注意して欲しいことがいくつか。この数はあくまでも「WHOが認定した数」であり、「インフルエンザA(H1N1)の実際の患者数」とは別であること。現在発現元とされているメキシコの数が初期においてさほど多くないのは、WHOによる確認・認定数が少ないからに他ならない。メキシコ政府当局ではこの時点でも、WHO認定数の数倍もの数を発表している。

また、医療体制が整っていない国や地域では、確認すること自体が不可能なため、当然患者数は把握されず、図の上には反映されないことになる。同様に、ある地域で患者数が日を追って増加している傾向が見られても、「感染が感染を呼んで感染者数が増えている」場合もあれば「これまで未確認だった感染者が確認されてカウント数が増えている」場合もある。数の増加がそのままイコール感染自身の拡大を意味しているわけではない。

さらにこれは「患者数」であり、「死亡者」ではないこと、現時点においてはインフルエンザA(H1N1)は弱毒性であり、適切な対処をほどこせばほとんどの患者が完治していることも再確認しておく。

とはいうものの、数の増加は状況の変化を示していることに他ならない(ちなみに、数が増えても「悪化」と断じることはできない。状況の把握をする体制が整いつつある、と考えることもできるからだ)。公的情報を元に現状を正確に把握し、各自正しい判断を行うことを願ってならない。