手洗いイメージ情報サイト「ブロッチ」などを展開するアイシェアなどは2009年6月5日、新型インフルエンザの個人レベルでの感染防止対策に関する意識調査結果を発表した。それによると、個人で対策をしている人は全体の4割足らずでしかないことが明らかになった。対策には「マスクの着用」以外に「手洗い」「うがい」なども含まれているため、6割以上もの人が簡単な行動も含めて対策をしていなかったことになる([発表リリース])。



今調査は2009年5月18日から21日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの登録会員(携帯電話による個人認証を利用したもの)に対して行われたもので、有効回答数は538人。男女比は56.1対43.9で、年齢階層比は20代36.6%、30代30.9%、40代32.5%。

調査母体において、いわゆる豚インフルエンザを発現体と推定されている新型インフルエンザ(インフルエンザA(H1N1))に対し、個人ベースで何らかの対策をしているか否かを尋ねたところ、対策をしている人は37.9%となり、4割にも達していなかった。

新型インフルエンザ対策をしているか
新型インフルエンザ対策をしているか

「対策」といっても個人でできることはさほど多くなく、後述するように「手洗い」「うがい」「マスク着用」など、それこそ通常の季節性インフルエンザ対策と何ら変わらないのだが、それすら出来ていない人が過半数を超えている。ゆゆしき状況といえなくもない。

では対策をとっている人は、具体的にどんなことをしているのだろうか。複数回答で尋ねたたところ、もっとも多いのは「手洗い」、次いで「うがい」となり、外から室内に戻った際には欠かせない衛生行動が上位についた。

どんな新型インフルエンザ対策をしているか
どんな新型インフルエンザ対策をしているか

男女の違いは多少あるが、「手洗い」「うがい」「マスク着用」の3行動が大きく票を集めている。この3行動はシンプルで分かりやすく、しかも誰にでもできる対策といえる。

また、現在の新型インフルエンザ用治療薬(タミフル・リレンザ)は厳密には「治療薬」ではなく「対抗薬」でしかなく、症状を抑えるための薬であり、症状の回復・治療には人間自身の自然治癒力に頼るしかない。そのためにも「十分な睡眠」や「栄養のある食事」で、体の免疫力・治癒力を活性化する必要がある。これらの項目や「体を温める」など体の内面的な対策は特に女性の方が値が高く、男性が「加湿器」「空気清浄機」などの外部機器による対策において回答率が高いのと比較して、違いが顕著に現れている。

感染スピードの問題や対抗薬の存在、弱毒性であることもあわせ、現時点では個人ベースの新型インフルエンザ対策は、上記グラフに挙げられているような「季節性インフルエンザ対策と同じ」項目で十分といえる(というよりそれ以上のものを考えるとなると「極力人ごみのある場所への移動を避ける」くらいしかない)。今後仮に感染力がさらに増大したり、対抗薬が見つからないタイプに進化したり、毒性が強化された場合は、公的機関の指導のもとに、外出の可能な限りの自粛などが求められることだろう。

それにしても、報道姿勢が二転三転し、挙句の果てに「騒ぎすぎだ」として公的機関の対応を非難する旗振りをメディアが積極的に行ったという理由もあるが、「対策をしたのが4割に満たない」という値は色々と考えさせられるものがある。特に必要な道具も準備も無く出来る事も多いのだから、もう少し積極的に取り組んでほしいものだ。