頸肩腕(けいけんわん)症候群?イメージ先に【どうして首が痛み出すのか?】で首の痛みについて調べていた際、気になる病名が目に留まった。「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と呼ばれるもので、パソコンに向かう人が増え、また向かっている時間が長くなった昨今において、発症者が増加する傾向にあるとのこと。検索先のサイトでは、本人がその「頸肩腕(けいけんわん)症候群」の疑いがあるか否かを確認できる10のチェックリストなどが掲載されていたので、今回はそれを紹介してみることにしよう。



「頸肩腕(けいけんわん)症候群」とは文字面の通り「首」「肩」「腕」など上半身・首の周囲に起きる症状をまとめたもの(「症候群」とはそもそも色々な症状をまとめて呼ぶための言葉)。【All About】の解説ページなどによれば、「肩こり」「首や背中の筋肉痛」「手・指のしびれ」「手の脱力感」「腕の筋肉のだるさ、痛み」「腕や手の冷え感」「頭痛、めまい」などが症状として該当する。検査の結果、症状の原因が「首の椎間板ヘルニア」「変形性頚椎症などの首自体の疾患」「腱鞘炎」「胸郭出口症候群」などと特定できればよいが、特定できないものをまとめて「頸肩腕症候群」と呼ぶという。

ノートパソコンで悪い姿勢イメージこれらの症状はパソコン(特にノートパソコン)に向かい、不自然な姿勢でキーボード・マウスを利用する人に多く見られる。「パソコンそのものの普及率が高いのだから、それらの人から発症する数が増えても当然」というツッコミもあろうが、他に手や腕を酷使する職業・趣味にも多発しており、関連性は高い。

元記事(【過労性疾患の解説:芝大門クリニック】)などによると、この「頸肩腕症候群」、実はパソコンが普及する以前、1960年代以降にも一時期多発していたとのこと。当時は高度成長時代。キーパンチャーやスーパーのレジ係など、女性の単純事務労働者に多くみられた。タイプする対象は異なるが、「キーボードを打つ」際の身体的行動パターンや長時間維持する姿勢はほぼ一致する。

その元記事の芝病院で渡辺靖之医師が作成した「頸肩腕症候群チェックリスト」が次のリスト。この10項目のうち、3つ以上当てはまれば、可能性があると指摘している。リスト作成は2002年とあり10年近く前のものだが、パソコンの普及率や利用時間の増加(インターネットの普及やソフトウェアの便宜性の増加)を考えれば、現在の方がよりリスクが高いようにも見える。

1.髪をとくのがつらい
2.電話の受話器を持ち続けるとつらい
3.ハンドバッグを持つのもつらい
4.風呂でタオルをかたくしぼれない
5.夜中に腕がしびれて目がさめる
6.長く続けて字をかくとつらい
7.ものをよく手からおとす
8.自由な時間はできるだけ横になりたい
9.いままでより冷房がつらい
10.ねつきがわるい、眠りがあさい

項目を見直すと、「頸肩腕症候群」云々というより全体的な倦怠感、疲労感から来るもの、栄養剤の効用でよく見受けられる「慢性疲労」を原因とするもののようにも見える。逆にいえば、それだけ身近なものと考えることもでき、第三者から見れば単なる「怠けぐせ」と誤解される可能性も否定できない。

さて、「チェックリスト」を載せただけでは無責任だ、チェック項目が多かったらどうするの、という人もいるかもしれない。先のAll Aboutの記事では【予防法についても】語られている。いわく、身体だけでなく精神的な部分も多々あることも考慮し、

・パソコン周りの環境を整え、不自然な姿勢からおさらば
・パソコンの作業は1時間ごとに10分休憩
・姿勢を硬直化させず、肩を回したり背伸び、ストレッチを心がける
・リラックスタイムを設ける
・症状が重ければ素直に主治医などに相談する

職場でストレッチイメージ……などを対処法としてあげている。また先の「過労性疾患の解説:芝大門クリニック」では東京労働安全衛生センターの飯田勝春事務局長の言として、「姿勢の硬直化からの脱却(ノートとデスクトップの使い分け)」「目線より少々モニタ画面を高くする」「適切な姿勢を取れる椅子を用意する」「心身に負担のかけない作業空間を作る」などを列挙している。いずれにせよ、「パソコン利用で起きる無理な姿勢・心身的なストレスを長時間かけないように工夫すること」に集約されそうだ。

「無理な姿勢で長時間」というと【長時間のおしゃべりは「携帯電話ひじ」に!? 不自然なポーズがひじに負担を】で解説した「携帯ひじ」「携帯電話ひじ」が思い返される。デジタル化で周辺環境が進化して便利になっても、それを受け入れるだけの肉体的進化は、人類は残念ながらまだ成し得ていないということなのだろう。



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